金ペン堂

土曜日にのこのこと二人で神田神保町に行く。
中国書籍の専門店で可愛い絵本を見つけたり、古書センターでヴァン・ダイン『僧正殺人事件』昭和五年発行¥8.000也や江戸川乱歩『随想・探偵小説』¥8.000也を欲しがったり、書泉グランデで東欧SF集やロシアSF集の文庫をパラパラめくったり、中井紀夫『山の上の交響楽』(ハヤカワ文庫)がまだあるぞ、ほえー、と喜んだり、書泉ブックマートで「今市子の(予約販売だったはずの)画集が売ってるヨ!尾白と尾黒のフィギュアが…欲しいネ…」と夫婦で眺めたり、すずらん通りの古楽器屋で「Harmony」の可愛らしいウクレレを見つめたりしたのだけど、この日のメインはのこのこをつれての「金ペン堂」下見だ。
実は我が家で時ならぬ「万年筆欲しい」ブームが巻き起こり、万年筆と言えば俺の中では20年近く「神保町の金ペン堂」で良いモノを買うのが夢だからして、ここはやはり「金ペン堂」に行こう、と相成ったのだ。

俺がずーっとずーっと、いつでもいつでも欲しいモノ。それは「良い万年筆」だ。
中学生の頃に憧れ、高校生になって安物を買って、使い、潰し、また買って…そういえば「金ペン堂」の店先にたまにあった安い万年筆も買っていたなあ。大概は近所の文房具屋さんで買っていたけど。
そして大学生の頃にこれを買おうと決めたモノがある。
パーカー・デュオフォールド。
1920年モデルの復刻版が特に欲しいのだ。
モンブランでもペリカンでもない。
なぜかと言えば理由は単純。吉村昭の愛用品なのだ。
そしてその事実を知って以来10年以上、ずっと憧れ続けた万年筆。それがパーカー・デュオフォールドなのだ。

安いところで買えば3万円台で買える。2万円台すらある。
しかし、6万円近くの定価買いでも「金ペン堂」で主人が調節したモノを買いたいのだ。それが「憧れ」たる所以だ。価格の問題では無い。
小説家のようにデパートで「有るだけ出して下さい」と言って、試しに書いて選んで買うのも…カッコイイが、俺がやるのはさすがにねえ、ちょっと気恥ずかしいし。

で、金ペン堂に来ました。何年ぶりだろ。あ、3年くらい前に来たか。とんでもなく久しぶりという訳でも無いネ。そしてあたりまえのようにありましたよパーカー・デュオフォールド。ほ…欲しい…

そしてついでに気になったのがドイツ製¥3.500也のプラスチック製万年筆。実用おもちゃがマイブームの俺としては、ドイツ製日常文具の洗練された美しさは、見るだけでなかなかに心地よい。

ちなみに金ペン堂自慢の筆先調整は¥10.000の万年筆から。うーん、それならちょっと贅沢に、パーカーのソネットあたりを普段使いに買いたいなあ…
でもこのドイツ製も普段使いには良いなあ…調整されて無いけど…デザインが美しい…
なんて考えて、夫婦ともになにも買わずに帰りましたとさ。

夜中に久原大河画伯の家に行く。
フライヤーの原稿&データを受け取る。
東京中低域の素敵なフライヤー、3月6日町田ライブの告知用。見てネ)
ジェイムス・カーターの新譜?を聴く。気になるのは、コレ、矢口博康東京中低域名誉域員の新譜『さよならtoday』同様のCD&SACDの二層記述方式なのよ。
おまけに録音方式も同じDSD
大河邸のプレイヤーはCDだったけど、うーん、音が良い。
今度、同じ再生環境でこの二つを聴いてみたい。比べるのでは無い。DSDSACD&CD二層記述の特徴が見えてくるかもという期待だ。
夜中の3時に仕事のFAXを受ける大河に見送られ、帰宅。