隣人職人世界

最近サックスのマウスピースを変えて、変える度の毎回のような悩みをやっぱり今回も持ってしまいました。
「リードは何にしようかな…フェイシングが長めだからハート部が薄く、逆V字の厚みが始まるポイントがヒール寄りで、先端の平らな部分が長めな方が良いよな…」
リガチャーはなにが良いかな…」
そして「そんな事でぐちゃぐちゃ悩みたくねーヨ!もっと何も考えずに豪快にスパっとやりたいのに!」という二重の悩みで頭が重い(その時点で豪快ではない。アホか)

リードは決まった。とりあえずイシモリリード2半(!)で行く。問題はリガチャーだ。
付属のモノも調整して大分良くなったけど、ホントはもう少しヘビーなモノにしたい。
で、イシモリリガチャー(ウッドストーン)を試してみたんだけど、ちょっとヘビー過ぎる。
「パワーが出る」「音が太くなる」と感じるサックス関連部品の大概は、昔のアナログ録音機器やダイナミックマイクの音が太く感じるのと同じで、若干のハイ落ちがあるのだ。
ハイ落ちした分、中域の倍音が強調され太く感じるのだ。
要はフィルターのような効果。
で、イシモリリガチャーもそうした効果があるのだが、ARBと組み合わせると(リードの組み合わせもあるだろうが)ハイが落ちると「毒」が増す感じ。音の毒成分強調!かっこいい。
いや、これはこれでそれなりに面白く好きだけど、今回はパス。

今考えているのが、ぎりぎりサイズの合うセルマーメタル・アルト用リガチャーに黒塗装をすることだ。
色合い見た目も大きいが、それ以上に「微妙に鳴りを殺す」効果も狙っている。そのためメッキではなく塗装にしたいのだ。
いや、メッキでも音的に面白いモノもあるかもしれない。
Zippoの表面の仕上げで、俺が狙っている仕上げのモノがあった気がするのだが

で、金属表面処理についてネット上で調べている。
面白い!
例えば、最近の音響機材に必ず刻まれている「CE」という印。
これ「ヨーロッパ基準によるニッケル遊離反応テスト」の印なのね。意外。ニッケルとはね。
http://websvr1.paris-miki.co.jp/paris-miki.com/items/frame/allergy.html#NOTE

他にも様々なHPをみると「仕事を少しでもとりたいが品質は落としたく無い」という切実な気持ちが伝わる小規模工場があり「…リガチャー1個に手間かけさせるの、悪いなあ…しかも3月とか仕事ピークみたいだし…」なんて気にもなってしまったり。うーん。

しかし、まったく知らなかった職人世界を垣間見られるのもネットの恩恵か。

知人友人サックス吹きの中には、自力でメッキ工場を探し出してリガチャーにメッキしてもらっている人間が何人かいる。しかしメッキではなく塗装に関してはまだ俺の周りでは情報不足だ。
ともあれ、サックス吹きにとって極身近でありながら意外と知らない金属表面加工の世界。面白いなあ。

身近で意外と知らないと言えば、なんと言っても録音エンジニア。というわけで、こんな凄い本が出たぞ。
「赤川式 自宅スタジオ構築バイブル」
http://www.rittor-music.co.jp/hp/whatsnew/books/03317304/index.html
名エンジニア・赤川新一氏のノウハウと試行錯誤が山程詰まった永久保存版だ。
欲しい。