OH脳

といきなりアホアホなタイトルで恐縮至極なのですが。
先日、出かける前にニュースでも見ようと、昼の1時くらいにテレビのチャンネルをポチポチ回していた(「チャンネルを回す」って表現、もはやダイヤル式のチャンネル切り替え部が無くなっている現在でも使われているのが面白い。ただしもう「ガチャガチャ」は使えないヨ。ポチポチ)ら、脳ネタを放映していたので手を止めたのです。
が。
えー?それこそちょっとまってヨ!
「右脳は性格の暗い側面を担い、左脳は明るい面を担う。例えば右脳側で脳硬塞を起こすと性格が明るくなり、左脳側の脳硬塞の場合、性格が暗くなる。従って鬱を防ぐには左脳を鍛えなくてはならない。そのためには積極的に『言葉』を使うべし」
うぬ。
「右脳は性格の暗い側面を担い、左脳は明るい面を担う」
この前提がはたしてどれほど普遍性を持っているかどうかも気になりますがそれは百歩譲ってさておいて…
これ、以前掲示板「らくがきちょう」でも話題にした「右脳左脳という分け方は大雑把すぎる」という指摘がそのままあてはまります。
その時は「関東と関西、関東人と関西人」に例えたのですが、今回は部屋の電化製品に例えてみましょう。
右脳を居間、左脳を台所に例えてみましょう。
居間にはテレビがあって、台所には電子レンジがあるとします。
右脳左脳の機能的な違いは、おおまかにわければこの例えの場合「居間」「台所」の違いであります。
留意して欲しいのは、それぞれの部屋の(生活の上での抽象的な)機能の違いと、置いてある道具の機能の違いをごっちゃにしてはならないこと。
そして、どちらの部屋もそれぞれの役割がありどちらも生活に必要だと言うことです。
「右脳は性格の暗い側面を担い、左脳は明るい面を担う」
これが、上記の例えで言えば「部屋の機能の違いなのか部屋に置いてある道具の機能の違いなのか」それによって意味合いが変わってくるのです。
左脳に言語を司る部位は確かにあるようです。
しかしそれが果たして「左脳が性格の明るさを担う」という機能とリンクしているのかどうかは分からないのです。
例えば、同じ台所にあるからといって電子レンジを磨いてもガスコンロは綺麗になりません。
なんかテレビで発言されていた「左脳を鍛える」方法というのがそんな行為に見えてしょうがないのですが…

「右脳側で脳硬塞を起こすと性格が明るくなり、左脳側の脳硬塞の場合、性格が暗くなる」
どれほど信頼性のあるデータなのか分かりませんが、これも百歩譲ってそうだとします。
しかしそうだとしても気になりますのですヨ。
上記の部屋の例えで言えば「居間でテレビが見られなくなった」状況を想像してみて下さい。
「テレビが見られなくなった」という説明だけでは例えば「部屋のブレーカーが落ちて電源そのものが駄目になってテレビがつかなくなった」場合もあるでしょうし「テレビが壊れた」場合もあるでしょう。
脳硬塞という状態はブレーカーが落ちた状況に例えられるでしょう。
部屋の電気製品は軒並み使えなくなります。
居間にあるのはテレビだけではないのです。
それらの電気製品は密接に関係しているモノ、関係が希薄なモノ、様々なモノがあります。
脳の部位も同じ事が言えるのです。
「右脳側で脳硬塞を起こすと…」
という話は「居間のブレーカーが落ちるとテレビが見られない」というレベルの話であって「だから居間はテレビを見る為の部屋だ」という結論にはならないでしょう。
居間には他にも様々な機能があるように脳の片側にも様々な機能があるのです。
一つを鍛えれば片側全てが鍛えられる、ということにはならないのです。

それに台所と居間が関係しあっているように右脳と左脳は互いに密接にリンクしております。あたりまえです。同じ一つの脳なのですから。

そしてそれぞれの機能は、あるいは電化製品がいろいろ置いてあるかのように、あるいは「関西人」と一言で言ってもいろいろな人がいるように、またあるいは東京と一言で言っても、そこには様々な役割の会社や建物があるように、非常に細かく分化しているのです。
そして全体で見て初めて一つの機能として認識されるのです。

右脳左脳という分け方自体が現在、それ程実効性を持たないのです。
あんまりに大雑把です。
そして互いに密接に関連しあっていることを考えれば分けて考える事自体が無意味であるのです。
一見矛盾しているかのような構造が…このつたない説明不足な文章で伝わったかどうか…

話を戻すと…
「鬱を防ぐには左脳を鍛えなくてはならない。そのためには積極的に『言葉』を使うべし」
これって右脳左脳の話じゃなくて、引きこもらずに人と話をして明るい気分になれば鬱は防げるって話じゃないのかにゃー?
それなら分かる。

早坂暁公園通りの猫たち』収録『グリドン通信』を思い出すなあ。
泣いたヨ。物凄く好きなエピソード。

最近、早坂暁の書いた脚本のドラマの再放送(長い)を良く見るヨ!
必殺からくり人』とか。